2016年から台湾でもPANELHOUSEを生産販売してきました。
台湾で小屋をセルフビルドする文化はほぼ皆無でした。
建物は業者に依頼するもの…
50棟ほど販売したうち、2~3人しかセルフビルドがいませんでした。
ただし、小さな建物(小屋)のニーズは日本と同様に強くあります。
別荘や趣味の部屋、週末のキャンプハウスは憧れです。
販売形態は日本国内のようにキットハウス小売ではありません。
工務店のような木造建築業者の位置づけでした。
棟数は少ないものの日本の工務店やホームメーカーも台湾に進出してます。
木造が少ない台湾の住宅
台湾の市街地を見ると、ビル街以外でも木造住宅を見かけることがありません。
鉄骨やコンクリート造りがほとんどです。
人里離れた田舎に行っても木造はあまりありません。
沖縄の街並みに近い感じです。
雪が降ることはなく一年中暑いので、住宅にクーラーが欠かせません。
環境意識が高く木造は人気
台湾人は日本人以上に環境への意識が高いです。
省エネやエコ活動に積極的です。
CO2の排出についても敏感です。
街角にゴミも少なく、都市部では緑化の為の公園も多く見られます。
省エネのために断熱効果が高い木造に興味があると思われます。
人々に癒しを与えてくれる木製住宅に高い関心があります。
コスト優先の住宅事情
そうはいっても、住宅にかけるコストには限界があります。
平均すると決して高いと言えない国民所得では予算に限りがあります。
日本のように木材の国内流通が活発とは言えません。
木材供給が少ないので価格は高くなります。
欲しくても最新の木造住宅に手が届きません。
台湾ではコスト面からも鉄骨やコンクリート造を選ばねばならない事情があります。
台風と地震の環境
九州、沖縄は台風の通り道ですね。
すぐ近くの台湾でも台風の影響を強く受けます。
昔の台湾の住宅は木造で粗末な造りでした、
そのため木造建物はよく倒壊していたそうです。
木造構法は日本統治時代の影響からの軸組構法でした。
台湾は日本同様に地震多発地帯です。
建物に求められる構造耐力は日本と同じ基準です。
台湾における建築基準法上の外力の想定数値が日本とほぼ同一です。
建築確認の役所担当者に木造構造に関して質問したことがあります。
残念ながら十分な木造知識がありません。
木造の建築件数が少ないので仕方がないのでしょう。
木造を求める台湾人の傾向
もともと台湾人にとって木材は身近なモノでした。
戦前から台湾ヒノキは高級材として有名です。
木材生産量も多く製材工場もたくさんありました。
癒しを求める人々
台湾は半導体やITなどのハイテク産業が盛んです。
TSMCなどの巨大工場の建設がさらにすすめられています。
ビジネスマンは多忙を極めています。
そんな状況ですから、休日に農村や海、山で休暇をとりたいという需要が多くあります。
高速道路や新幹線も整備されていて日本よりも安価です。
クルマで1時間も走ればのどかな自然豊かな環境に移動できます。
滞在期間は1~2泊と、一週間ほど滞在する人の、二種類の需要に分類される感じです。
日本と同様に週末小屋暮らしや小別荘、グランピングのニーズはとてもあります。
セルフビルドの文化がない
欧米と比べると日本人は、まだまだDIYやセルフビルドをしません。
私たちは日本でキットハウスを販売してきましたのでニーズをよく調査しました。
ところが、それ以上に台湾人は建物のセルフビルドをしません。
エアコンや水道、電気はもちろんです。
ちょっとした修理や組み立て家具作りもしない傾向があります。
リフォームはもちろん水道電気設備のちょっとした故障でも、台湾人は工事業者に修理を依頼する風習があります。
少ないけどホームセンターはある
日本に比べるとホームセンターは数が少ないです。
郊外型の巨大なホームセンターはほぼありません。
いくつかのホームセンターを見てきました。
日本とは雰囲気が違いスーパーマーケットのような、家具店電気屋のような、何とも言えない違和感があります。
わずかにネジや設備部品などセルフビルド資材などがあります。
しかし、ニーズがないのか種類や数量はわずかです。
DIY、セルフビルドする人が少ない証拠ですね。
良いデザインだが品質管理がまだまだ
PANELHOUSEの仕上げや他メーカーの木造住宅を見せてもらいました。
そこには台湾人のこだわりを見つけることができます。
内装や壁の色、照明、質感へのこだわりがとても強いです。
設計がしっかりしていて仕上げは妥協せず丁寧です。
デザインのセンスが良くて欧米住宅のようです。
しかし反面、構造物の力学や施工方法には無頓着な一面があります。
ドアや窓の開閉具合がイマイチだったりします。
使う釘がテキトーのため雨漏りの原因になっていたりしました。
トイレ詰まり等の欠陥住宅になっている事例もしばしば目にしました。
室内高さは高め
台湾人は日本人と同じくらいの平均身長ですよね。
しかし、室内高さについて日本人より高めを好む傾向があります。
PANELHOUSEでは住宅仕様で壁高2.4mくらいが標準です。
3mは欲しいというユーザーが複数いました。
鉄骨造りなどの木造以外に慣れ親しんでいるせいかもしれません。
台湾では木造住宅が高級品
日本の住宅ホームビルダーが台湾にも進出しています。
建物だけで4,000万円以上の高級木造がほとんどです。
顧客は経営者などの富裕層です。
台湾でPANELHOUSEを50棟ほど販売しました。
キットではなくほぼ全て建築請負施工でした。
高まり出してる持続可能な環境意識
PANELHOUSEは、台湾において店舗、キャンプハウス、グランピング等に使用されてます。
木造の良さが伝わっていなかったり、キット価格が安すぎて怪しまれていたりしました。
環境意識が高い台湾人は、木造住宅に高い関心があります。
台湾では原料の木材自給率が低く、輸入材が高価な流通環境があります。
それらが改善されれば、木造の建物が増加する環境、国民性が感じられます。
台湾顧客の需要を捉えた商品を揃えれば、木造住宅は台湾でも広がりを見せるでしょう。
コメント