坂のような傾斜地に小屋を建てるのはムリでしょうか?
大丈夫です!例外がありますが、むしろ傾斜地の小屋作りをおすすめします。
私は小屋作りのお手伝いをしてきましたが、山小屋や景勝地の別荘が多かったです。
そのような条件は小屋を作る場所がだいたい坂上などの傾斜地です。
坂では水平をだすのが大変になり、基礎作りなども難しくなります。
でも、傾斜地の小屋は絶景だったり排水が良かったりとメリットもたくさんあります。
注意点も一緒に整理しておきましょう。
小屋を作る場所に意外とおすすめな傾斜地
小屋の基礎は支持地盤にしっかり固定されていて、風水害や雪害によるダメージが少ないことが理想です。
軟弱地盤や泥炭地、くぼ地のような水たまりが多い地帯は小屋作りするときに対策を考えないといけないですね。
尾根や頂上だと強風の風圧に耐える必要があり、地盤の風化や崩落する可能性が高いと言えます。
消去法で小屋作りに適した場所を考えていると、意外にも傾斜地が該当してきます。
排水が良い
坂道や傾斜地は雨が降っても水たまりができにくく、排水が良いですよね。
水がひきにくい土地でジメジメした環境は、腐朽菌の活動も活発で木材を腐らせる原因となります。
まとまった降雨量でも水たまりになりにくい土地は小屋の立地に適してます。
洪水で基礎土台が濡れると、その後の建物の管理が難しくなるといわれるのは腐朽菌が住み着くからです。
小屋であっても建物なので「濡らさない」ことを考えると、傾斜地は良い条件です。
地盤が固い(盛土を除く)
砂や泥などのもろい土質や転圧不足の盛土は、雨風で傾斜地から流出してしまいます。
盛土でなければ坂状の土地や傾斜地は、比較的安定して固い地盤が露出していることが多いです。
そのため、地盤沈下が少なく基礎が安定しやすい傾向にあります。
ただし、近くに土砂崩れが発生していたり、崩落する可能性がある場所では注意が必要です。
景色が良い
傾斜地の小屋からの眺めは、良いことが多いです。
視界を遮るものが少なく見晴らしが良いので、絶景であることが多いのです。
山林に小屋を作る方の多くは傾斜地を選びます。
強風の影響を受けにくい
山頂や海岸部は風の影響を受けやすいですが、傾斜地では風害に遭いにくいと思います。
風圧力は吹き抜ける条件に威力を発揮します。
風向にもよりますが傾斜地は壁になることが多く吹き抜けることができません。
風向が変わることで吹き上げる力がかかることもあるので考慮しなければなりません。
傾斜地では雪が吹だまりになりにくいので、雪害も少ないと言えます。
避けた方がイイ傾斜地
良いと思う斜面にも避けた方がイイ傾斜地もあります。
窪地の斜面
傾斜地が水路のように窪地になっていることもあります。
降雨があると雨水が川のように流れるような斜面に小屋を作るのはやめましょう。
雨天時に見に行かなくても、雨後に乾いた跡を見ても水路のようになった形跡は観察できます。
一時的であっても水路になると土砂が崩落して束石の移動も懸念されます。
斜面の排水路の場所は確認しておきたいですね。
あまりにも急傾斜
崖のような斜面は地盤が安定していても避けておきたいです。
あまりにも急傾斜ですと、石が転がっただけでも小屋に衝突すると被害があります。
急傾斜だと安全対策をしない限り、小屋暮らしを楽しむにも危険が伴うことが考えられます。
地盤が安定していても地震や地すべりによって被災することがありますので注意です。
ただ、傾斜地の基礎作りは難しい
完成すれば好条件となる傾斜地の小屋作りは、施工が難しく作業が困難なこともあります。
資材の運搬が重労働
トラックで現場まで行ける道路があれば良いですが、小屋を傾斜地に建てる場合は手運びが必要なことが多いです。
資材を補完するスペースも斜面であることが多く、運搬作業は重労働で意外に時間がかかります。
ケガなど安全に注意するには、運搬具を用意して時間をかけるしかありません。
傾斜地への資材の搬入計画をしっかりたてましょう。
足場が悪い
傾斜地は足場が悪く、掘削や資材運搬で足を滑らせやすいです。
雨天時などはぬかるんだりして滑りやすく要注意です。
基礎工事費用が高価になりやすい
傾斜地での基礎工事を依頼すると、資材の搬入にコストがかかったり基礎設計が複雑になり値段が高くなります。
狭い道路や坂道でのコンクリ―トの打設は、平場に比べて設備や技術が必要になります。
あらたに仮設資材が必要になったりして施工日数が延びてしまうことも一因です。
斜面は粘土質、岩石が多い
斜面の表層はもろく柔らかくて細かい土質が雨水等で流れてしまい薄いことが多いです。
そんなことから、傾斜地の表層下の地盤は比較的硬めの粘土質などが多く掘削作業が重労働です。
表層が薄いことから大きな岩や石があったりするので、現場の状況をよく観察して基礎設計や位置を考えなければなりません。
おすすめの傾斜地の小屋基礎作り方法は?
傾斜地において小屋の独立基礎を作るときは、羽子板付き束石などを利用してやぐらを組み上げるように床下を組み立てる方法がおすすめです。
水平を微調整しやすく、複雑な地形でも現場に合わせて基礎石を設置できます。
最小限の掘削でしたら労力も抑えられ、固まった地盤を不必要に破壊しなくて済みます。
大きな岩石があってもコストをかけて取り除かずに柔軟に対処できるのがいいですね。
坂に盛土は雨で崩れる
土木工事設計においても傾斜地での盛土は避けます。
手作業で坂に盛土をしてその上に小屋を作るのはムリです。
盛土の土砂崩れの主な原因は、風圧の影響もありますが多くは排水によります。
治水排水の専門的な知識と丁寧な施工技術が必要なのでDIYでは困難です。
傾斜地で水平面が必要な時は土留めをして切土で対応することを基本にしましょう。
ウッドデッキを作ってみよう!
そもそも傾斜地の土工事はあまりすべきではありません。
今ある斜面が安定しているわけで、それを利用させてもらうのが一番です。
先述の「やぐら」にもどりますが、束石の配置を先に施工してしまうのも良いと思います。
3坪程度の小屋でしたら、0.9m間隔くらいで束石の配置で大丈夫です。
それらを使って大きめのウッドデッキを作ってしまい、その上に小屋を作るという考え方です。
この時に大事なのはウッドデッキの強度で、想定した荷重に耐えられるように設計しなければなりません。
まとめ、小屋を建てる場所として坂や傾斜地はアリ
小屋作りの場所として傾斜地を選ぶのはアリだと思います。
いつも湿気が多い湿地に比べれば、安定していて排水性が良いので腐朽がすすみにくいと思います。
基礎設置でもっとも困るのが、地盤がやわらかいことです。
農耕地などは基礎沈下がおきます。
地盤沈下がおきにくい傾斜地は施工が難しいですが、景色や安定からみると小屋作りの場所としておすすめです。
降雨時の雨水の流れ方や土砂崩落には注意しなくてはならないので、雨上がりに現場に行くなどして良く調べてから施工地を選定してください。
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