「ごうはん」と呼ばれる板状の木材は、DIYに欠かすことができない材料ですね。
従来、幅が広い板材は、それだけ太い丸太が必要なので流通量が足りなくて高価でした。
合板が安価で手に入る事により、住宅設計やDIY木工にバリエーションが増えました。
コンパネ、ベニヤなどの合板は、数層の薄い板(単板)を接着剤で張り付けて製造されてます。
ツーバイフォー材、貫(ぬき)や桟木(さんぎ)という、製材して削り出した無垢の木材とは違うのです。
普通の木材とちょっと違う合板に、割れや裂け目があっても心配ないのでしょうか?
表面の「割れ」「裂け」にクレームが多い
合板の表層単板に割れや裂け目があると、問い合わせやクレームが多く寄せられます。
割れや裂け目は、見た目で心配になることが多いからと思われます。
丁寧にお客様の話を聞いていると、合板の強度特性が知られていないことがわかりました。
一般の方は、合板の製造方法や工程を知らないのは当たり前です。
製材の木板と同じように割れが走ると、分断してしまうように想像しているのです。
JAS規格工場なら心配なし
合板製造工場出荷でJASの規格以内であれば、強度や安全性に問題がないでしょう。
材料の強度が保証されているので、適切に設計すれば耐震構造の建物を建築できます。
ホルムアルデヒドの放散量も測定、管理されて生産されている工場なので、シックハウス対策できます。
耐力壁となる構造用合板の構造は、中芯、中板などと呼ばれる単板が、数層にわたり交互に互い違いに繊維方向を交差させて接着しています。
表面の単板に裂け目があっても、耐力壁として面材全体強度は落ちないと判断されているのが、JASの規格です。
裂け目が単層で止まっているので問題ない
乾燥割れによる裂け目は、木材の特性で避けては通れません。
規格では割れの長さや面積に許容範囲が設けられています。
JAS規格では基準に合格している合板だけが出荷されてます。
見た目が気になるかもしれませんが、求められる強度があるので心配はいりません。
接着したい要望が多い
問い合わせやクレームをいただき、対応を一緒に考えていると補修方法について接着しようと考える方が多くいます。
上記のとおり、構造強度上の問題がないことを理解いただいても「接着したい」という方が多いのです。
一般的な工法では、透湿シートや内装、外壁で合板の表面は覆い隠れます。
意図的に合板をむき出しにしない限り、割れや裂け目は見えなくなります。
どうしても見た目が気になる方が多いのです。
やらないよりは良いかも…
どうしても補修したいという方には、やらないよりは気分的に補修した方が良いのかもしれません…。
そんな方には接着よりも木工パテの補修をおすすめしてます。
木工パテは合板に直接塗装するときに、節穴をふさいだりするための下地調整の必需品です。
しっかり乾燥させてから、表面をサンドペーパーで仕上げます。
建築やDIYで合板が人気になってきたワケ
構造に理解が及ばなくても、合板は手軽に使えて丈夫なことがすぐにわかると思います。
合板材が住宅建築やDIY材料として広く使われるようになりましたが、それには理由があります。
合板は乾燥収縮がおきにくい
製材して削り出した無垢の木の「割れ」は、表裏まで通る可能性が高いです。
乾燥が不十分だと木材内の水分が抜けて収縮がおこり、さらに「割れ」が進みます。
要するに、パカッと二つに分断してしまう恐れがあります。
これでは材料として使う事ができません。
何層にも単板を接着して作る合板は、ほぼ乾燥収縮がおきません。
木材の欠点である「割れ」が発生しにくく、年月が経過しても「くるい」が起きにくいのです。
無垢材に比べて合板は品質が均一
無垢の板は、自然素材ならではの木目や風合いの美しさが楽しめます。
その反面、個体により品質や強度にバラツキがあります。
そのため、無垢材の加工技術や職人の熟練度により、完成度が左右されます。
合板は接着剤により何層も貼り合わせた構造材です。
規格やサイズ、加工精度、乾燥度が無垢材に比べて統一されています。
強度も加工も〇
合板は強度が低いということはありません。
板を折り曲げるチカラには弱いですが、繊維が直交しているため側面にかかるチカラに強いです。
耐力壁に使われるのはそのためで、多くの場合、筋交いを必要としません。
釘やビスも効きやすく、割れが通らないので初心者も安心です。
合板のカットも木工チップソーで容易にできます。
材積(木材体積)あたりだと値段が安いことも
合板材の価格は2×4材など無垢材よりも、立法単価が安いことがあります。
薄い単板に加工して、何層も接着し貼り合わせる加工をしているのにもかかわらず、です。
建築現場では仮設工事も多くあります。
いずれ取り外す仮設なのですが、建築工事はコストを抑えて安全に合理的に施工を進めなければなりません。
強度があって安価な合板材は、建築現場で広く使われています。
合板でもコレは注意
合板に「割れや裂け目が心配ない」と申しました…。
しかし、どんな状態でも合板材は心配ないという訳ではありません。
少しでも折れ曲がっているのは、強度上の問題がでてきます。
折れている
合板は大きな外力がかからないと、なかなか折れ曲がりません。
しかし、折れた合板の補修方法は交換以外にないでしょう。
木繊維が破断しているので、もう材料としては使えません。
耐力壁には地震や風圧によって外力がかかります。
合板に折れなどの破損がある場合は、交換するしかないです。
強い力がかかると合板でも曲がります。
表面だけの単層の割れとは違い、複層で折れや曲がりがあると強度はありません。
合板も腐る
長期間、風雨にさらしておくと、合板も木材なので腐朽します。
壁面を合板そのままで風雨にさらすと、カビが発生したり腐朽が始まります。
耐水性がある型枠合板などを除き、合板に使用している接着剤は、紫外線や水に弱いです。
屋外に使用すると劣化して単板がはがれてきます。
物置として小屋を作るときでも屋外側には、外壁材を取り付けたいですね。
合板は丈夫そうで腐ることがなさそうですが、むき出しになっていると屋外での耐候性は弱いです。
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