2019年12月にキットハウスのPANELHOUSEは、生産販売を終了しました。
珍しい国産の木製キットハウスでした。
開発過程がこれから小屋を作る皆様の参考になればと思い、このWEBを運営しております。
PANELHOUSE開発の歴史をご紹介します。
- 設計や仕様の変更は100箇所以上
- ~2002年、ガーデニングの一環から
- 2003年、雨漏りする入林届出箱
- 2004年、カラマツ材の乾燥収縮の対応
- 2005年、四畳半の小屋を販売
- 2006年、配送方法や生産性に課題が
- 2007年、合板を使い耐力壁の構造に
- 2008年、関東圏のキットハウス市場に参入
- 2009年、タイニーハウスとして札幌圏への販売強化
- 2010年、壁高2.4mのハイルーフ試作
- 2011年、断熱構造の試作モデルを展示
- 2012年、販売数250棟
- 2013年、月間最高の41棟を出荷
- 2014年、断熱しエアコン装備の4坪を展示
- 2015年、沖縄に出荷
- 2016年、 台湾に輸出を開始
- 2017年、 10坪小別荘を販売開始
- 2018年、 累計出荷棟数3,500棟突破
- おわりに
設計や仕様の変更は100箇所以上
最初の一棟目は、2005年に試験販売した記録があります。
それまで建物を製作販売した経験がありませんでした。
安く提供するかわりにお客様に使い勝手を教えてもらい開発に活かしてきました。
そんなモニター販売が多かった記憶があります。
その後、4,000棟を販売する中で設計や仕様変更した箇所は100箇所以上、変更回数は600回を超えます。
開発には多くの失敗を重ねて試作をしました。
とにかくお客さまの声にお応えする毎日でした。
「かんたんに組立できて、完成すると本格建物」を追及し変更を繰り返してきました。
~2002年、ガーデニングの一環から
北海道産材カラマツを原料にしていました。
流通パレットや梱包材料の製材を製造販売していた生産ラインを活用してました。
ガーデニング商品の一環として、物置や小屋を受注生産し製作販売してました。
2003年、雨漏りする入林届出箱
北海道産木材活用PRを考える北海道林務部から、登山客用の入林届出箱の製作を受注しました。
北海道産カラマツ材を使って完成し2個納品しました。
ところが、防水設計しておりませんでしした。
屋根や壁から雨漏りが発生して、補修を余儀なくされました。
小さな小屋形状ですが雨漏り対策について、様々な体験をして学ばせていただきました。
のちの設計ノウハウにフィードバックされていきます。
2004年、カラマツ材の乾燥収縮の対応
1坪タイプの原型となる1棟目の試作が完成しました。
しかし、直後にカラマツ羽目板を使ったため、乾燥による「くるい」が発生して問題に…。
解決策として結果的に8案もの方法を試しました。
その中で乾燥による「くるい」が発生しても対応できる特殊パネルが開発されました。
その生産を開始しました。
試行錯誤した乾燥カラマツ板や丁寧な羽目板加工技術は、木材関係者の方にも高評価をいただきました。
2005年、四畳半の小屋を販売
1坪タイプのキット販売を開始しました。
すぐに反響があり少し大きい四畳半タイプの試作を完成して、こちらも販売を開始しました。
しかし、納期がとても遅くなる羽目板の生産性問題がでてきます。
豪雪地での構造強度や経年劣化が課題になり、補修に走ることもありました。
パネル枠に溝切り加工した特殊なパネルゆえに、春の融雪時に壁を流れる水が室内に入る事例が発生してしまいます。
原因を追究しお客様にご理解ご協力をいただきました。
補修施工して改良試作を繰り返しました。
2006年、配送方法や生産性に課題が
多くの問題点を洗い出し分析し、約30項目の改良設計変更をしました。
結果、初めて1坪タイプを本州に発送しました。
この時は宅配で全国発送をしたかったのですが、宅配業者の意向で断念に…。
配送方法はイチから考え直すことになりました。(数棟は宅配業者が実際に配送)
ウッドデッキ付きタイプ試作したり1.5坪タイプを販売開始しました。
さらにいくつかの新商品を試作しますが、ニーズや生産性問題など様々な理由で発売に至りませんでした。
2007年、合板を使い耐力壁の構造に
カラマツ羽目板を幅が広い外壁材に変更しました。
新型1坪、2坪を試作し合板材を使用することで、組立やすさと構造強度が大幅に改善されました。
その後、3坪やウッドデッキ付きも試作完成しました。
窓無しだったのを窓付きドアパネルをキット標準仕様とします。
屋根材のカラーバリエーションを3色に増やしました。
外壁なしの1.5坪も試作完成し売れ筋を見つけるため、商品ラインナップを増やしました。
2008年、関東圏のキットハウス市場に参入
5坪以上の大型の受注生産が始まりました。
物置とはニーズが異なる4坪タイプが徐々に販売増加します。
この頃に経済不況の影響なのか小屋が流行します。
全国から問い合わせが多くなり、千葉県鎌ヶ谷展示場を開設しました。
安価で汎用性が高い外壁なしの1.5坪を販売開始します。
観音ドアオプション、レッドシダータイプ(限定品)を発売しました。
より組立がわかりやすくなるように、組立説明書に添付する組立DVD(約30分)を作成しました。
2009年、タイニーハウスとして札幌圏への販売強化
カラマツ外壁をよろい貼りに変更しました。
商品開発のコンセプトを「ノコギリを使わないキット」とし、これが大変でした。
壁や床パネルをつなぎ合わせるのは、部品化できて問題はありません。
しかし、外壁材は全てカットして梱包しなければなりません。
お客様のオーダーにより窓の位置やドアの数が変わります。
その都度、外壁四面分の図面を作り、カットしなければなりません。
梱包時に枚数の間違いが頻繁におきました。
サンルーフ(屋根窓)開発に取り組むも、経年劣化の雨漏りを払拭できず断念しました。
根太の本数を減らすために床板にネダノン(24mm厚合板)を採用します。
札幌展示場を開設しました。
このころから、小屋のニーズが物置からタイニーハウス(多目的な小屋)へと大きく変化します。
大型タイプを量産化するための設計と、生産出荷方法の検討を開始しました。
2010年、壁高2.4mのハイルーフ試作
壁高が約2.4mで、これまでより50cmほど全高が高くなるハイルーフタイプの試作一棟目が完成しました。
何度も組立の試行錯誤を重ねて、試作から約40項目以上の改良変更がありました。
しかし、頻繁な改良により部品の取り扱いで発送ミスが相次ぎます。
そのため出荷前の仮組み発送時確認システムを見直すことになります。
全タイプをコーナーパネル必須に構造変更しました。
照明などの電力使用需要もありソーラー発電キットの試用を開始しました。
2011年、断熱構造の試作モデルを展示
ニーズが多く外壁材の防腐効果もある、雨どいオプションを設定に加えました。
断熱構造のオプション設定を開始します。
小住宅を目指す断熱、ストーブ、配線、換気を設置したモデルを芦別展示場に設置しました。
受注の増加とともに配送で遅れ等が多発し、お客様に迷惑をかけることも多かったです。
配送品質を継続監視する「配送に関する定期チェック」システムを構築しました。
2012年、販売数250棟
キットハウスを利用した大型の別荘等の受注も増えました。
年間販売棟数250棟を突破しました。
防腐や経年劣化を防ぐ改良を繰り返しました。
より安心できる防腐オプションも追加しました。
事務所や別荘などへの利用が広がり、建築設計事務所からの問い合わせも多くなります。
建築確認申請するために土間タイプの販売も開始しました。
2013年、月間最高の41棟を出荷
別荘などに使える9坪の販売を開始します。
累計出荷棟数が2,000棟を突破し、全国各地に発送しました。
仲間がいなくてもつくれる「一人で作る」プロジェクト開始します。
9月に月間最高の41棟を出荷しました。
老朽化した工場設備を補修し発送現場を整備することで、納品期間短縮に努めました。
2014年、断熱しエアコン装備の4坪を展示
シャッターを取り付けてガレージ仕様のキットハウスを発売開始しました。
網戸付き観音ドアを販売開始しました。
千葉県より展示場を移設し、相模原展示場を開設しました。
氷点下の真冬でもわずかなヒーターで快適に宿泊できる小屋を目指します。
断熱施工とエアコンを装備した4坪を、芦別工場で展示を開始しました。
組立時にお客様が間違わないように、ハイルーフ屋根の組立方法を一部変更しました。
2015年、沖縄に出荷
相模原展示場にガレージの展示をはじめます。
コンポストトイレ(バイオトイレ)を設置しました。
はじめて沖縄県の方から受注しPANELHOUSE設置としては、最南端に販売しました。
2016年、 台湾に輸出を開始
バイオトイレを装備した1坪キットを発売しました。
東京展示場を開設しました。(モダンクリエート展示場内)
累計出荷棟数が3,000棟を突破し、台湾にPANELHOUSEの輸出を開始しました。
2017年、 10坪小別荘を販売開始
海外でPANELHOUSE11棟を販売しました。
芦別工場にサービスバス(TOYOTAコースター)導入しリフォームも受注します。
10坪の小別荘を販売開始しました。
2018年、 累計出荷棟数3,500棟突破
台湾で40棟を販売しました。
10坪を超える大型タイプや小住宅が好調になります。
累計出荷棟数3,500棟突破しました。
多くの雑誌書籍で小屋が特集され、PANELHOUSEも多くの取材を受けました。
おわりに
2019年春に生産を終了し10月にPANELHOUSEのキット販売を終了しました。
設備投資や人材確保、配送の問題など複合的に理由があり、事業計画立案が困難になったためです。
3年ほどメンテナンスサポートを継続して、2022年末にキットハウス事業は完全終了しました。
お客様のニーズをよく聞き、改良して商品を開発してきました。
PANELHOUSEには多くのアイデアが盛り込まれています。
WEBで紹介します。
これから小屋を作る方の参考になれば幸いです。
なお、PANELHOUSEはこれまで販売代理してました(株)モダンクリエートに設計コンセプトを承継いただき、多摩地区をエリアとして設計請負施工させていただいてます。
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