小屋づくり計画をしている方から、建築確認申請の質問を多くいただきます。
小さな小屋でも申請が必要なの?
疑問に思う方が多いです。
結論から言うと、法律上はどんな小屋でも確認申請が必要です。
「小さな小屋や建てる場所によっては、例外的に申請しなくても可能」
という認識で良いと思います。
建築確認申請は必要?
原則的にはどんな小さな建物でも建築確認申請が必要といえます。
ルールにより申請を免除、または不要としている規定があります。
- 都市計画区域外→不要です。工事届けが必要な場合も。
- 都市計画区域内→申請が必要です。
電気・上下水道の利用のために確認申請書類が必要なこともあります。
よく言われる10m2未満とは
一般的に「10m2未満なら確認申請が必要ない」と言われます。
コレは厳密にいうと「増築で10m2未満」なら申請が不要ということです。
既存の建物に増築する場合、または敷地内に別棟で建てる場合に、10m2未満なら確認申請は不要ということです。
別棟なら増築や改築じゃないんじゃないの…?
増築の定義は、同じ敷地内で建物の「床面積を増やす」ことです。
母屋と連結しているかは問われません。
防火地域や準防火地域の場合は、増築10m2未満でも建築確認申請が必要です。
ウッドデッキ部分は壁がなくても、屋根が付いてる部分は建物面積とみなされます。
建築確認申請は、税金とは別のこと
確認申請しなければ固定資産税がかからないのでは…?
建築確認申請は建物の強度や立地条件が法律に適合していて、そこに建てても周囲の安全や環境を確保できるかどうかを役所が”確認”するものです。
一方、固定資産税は建築確認申請の有無にかかわらず、固定資産としての条件を満たせば納めなければなりません。
極端に言うと「建築不適合」の建築物でも、固定資産評価に基づいて納税しなければなりません。
「建築確認申請=固定資産税の申告」ではないのです。
防火と基礎を確認
防火地域等で建築面積や高さが制限されたり、防火規定により開口部や屋根で使う資材の制限があります。
市街地に小屋を作るときは、防火地域・準防火地域・22条区域などを確認してください。
それにより建築不可だったり、建材に不燃材などの耐火資材が必要なのかがわかると思います。
建ぺい率や容積率が適合してないと申請を受け付けてもらえません。
事前に小屋の設計図を用意して計算してみましょう。
基礎はベタ基礎or布基礎
建築確認申請する時の基礎は、独立基礎(ブロックや束石)が認められません。
建築確認申請するためには小さな建物でも布基礎やベタ基礎となります。
基礎設計施工は専門知識と経験が必要です。
コンクリートや鉄筋などの材料費はあまり地域差がありません。
型枠の設計が複雑だったり、小屋を作る場所により掘削、搬入や養生等でコストが大きく変わります。
申請のまえに
建築事務所を通じて申請すると短期で完了しますが、一般の方が申請すると何度も役所に呼ばれることが多いようです。
自分で申請した方の体験記などをネットで見かけます。
苦労も多く時間が必要で、法的な事や専門知識が必要な事も多いです。
地元の建築士の助けを借りる方が得策と思います。
建築確認申請に必要な図面
難しい書類もありますが、申請に必要な図面書類は下記のとおりです。
建築士に依頼するにも、自分でできる限りの図面を作成して用意しておくと、建築士の書類作成がスムーズに進みます。
代行費用を抑えることができるかもしれません。
- 案内図→地図上の建てる場所
- 配置図→新築建物の敷地上の位置
- 求積図→敷地面積、建築面積の算定
- 立面図、平面図→採光、換気、排煙も含む
- 基礎伏図→基礎の平面図と土台の固定方法の図面
- 床面積・見付面積算定表→床と壁の見付面積を算定
- 壁量算定表→平面図上で必要壁量の算定
※建築確認申請書類は別途必要で、上記以外に図面が必要な事もあるので事前に市町村役場に確認してください。
事前相談をしてみよう
全ての法律条例に適合していれば確認申請は必ずパスできます。
しかし、小屋は住宅基準で考えると水道換気採光など基準を満たすには難しいこともあります。
確認申請を用意する前にアポイントをとって、市町村の建築課に事前相談に行った方が良いでしょう。
役場に相談に行ったら、小屋を専門にしている工務店を紹介され、確認申請や基礎など手ごろな価格でしかも早く完了できたよ…
確認申請を自分で挑戦しようとした顧客の中には、このように喜んでいた方もいます。
気になる方は、まずは役所への事前相談をおすすめします。
まとめ、確認申請の現状
街を見渡すと最近建てられた建物でも基礎や屋根資材を見る限り、確認申請をしていない、又は建築不適合な建物を時々見かけます。
法律順守の視点から当然に確認申請をしなければなりませんよね。
しかし、現実として検査済み証が発行されていないと思われる小さな建物はけっこう存在します。
店舗としての小屋なら必ず
店舗や商店などにと、小さな小屋を計画している方もたくさんおられます。
不特定のお客さんが出入りするのでしたら必ず確認申請をしましょう。
子供や障がい者のお客さんもいて、店舗小屋においてどんな問題がおきるか完全には想像できません。
不慮の事故や災害で死傷者が出た時に営利目的の建物が違法建築という事になると、運営者は賠償責任、過失を厳しく問われることになります。
各種保険の加入時において、確認申請して完了検査が終わった時に発行される検査済証がないと、保険に加入できないことがあります。
小屋独自の確認申請があったら…と思います
しかしながら、確認申請ではどんな建物でも独立基礎を認めないなど、近年ニーズが高まる”小屋”等のスモールハウスの概念はありません。
法律では常に住宅を基本に考えられています。
都市計画や用途地域、建ぺい率や容積率の基準を満たしていれば緩和され、確認申請がラクな小屋基準があったらなぁ…と思ったりもします。
小屋は木製が多く住宅密集地では延焼を防ぐために防火対策が必要です。
防火や災害対策をクリアした建物は、新しい”小屋”の位置づけを法律に入れてもらいたいものです。
行政に相談しに行く時の心構え
小屋には問題となっている空き家対策のコンパクトシティのヒントになる可能性を秘めてます。
地方の人口減少対策や活性化にも役立つ可能性もあります。
ワーケーションやリモートに小屋が使われることも増えてきました。
法的にはご紹介のとおりですが、DIYの小屋作りを後押ししてくれるように柔軟に対応してくれる地方行政も多くなってきました。(柔軟性がない市町村もあります…)
多くの成功例を参考に、行政に小屋作りの相談をしに行く前の心構えとしては下記が大切です。
- 建物については自己責任
- 周囲に迷惑がかからない
- 近隣の自治に参加する
- 納税をする
思っていたより手間やコストがかかるかもしれませんが、小屋暮らしは最小限のコストに抑えられていて今の時代に合っていると思います。
昔のように別荘を所有するのではなく、小屋でお試し感覚の田舎暮らし小屋暮らしは、得られるメリットが無限にあると思います。
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