私は多くの現場で小屋を建てさせてもらいました。
キットハウスの品質を高めるために、小屋を作る現場の経験はとても貴重でした。
小屋作りは人里離れた現場が多いです。
ひとたびトラブルが発生すると大変です!
大幅に予定が狂ったりコストが発生します。
どんな現場でも予期せぬトラブルやハプニングはつきものです。
これからセルフビルドする皆さんが同じ失敗をしないように、失敗談やミスの一部を紹介します。
忘れ物や準備ミス
忘れ物や連絡忘れなどのうっかりした人為的ミス…
充電してない…、ビスを忘れた!
おきてしまいがちですが、忘れ物で小屋作りがまったく進まないことがあります。
バッテリー残量がゼロ…
現場では充電設備がありません。
山林内ならお手上げ状態ですね…。
電動工具の充電は300ワットを超え電力量が大きく、ソーラーパネルの充電は難しいでしょう。
前日にバッテリーの充電状況を確認しないまま、現場に到着してから残量ゼロに気づいたことがあります。
インパクトドライバーが使えないと小屋作りは全く進みません。
コードレス丸ノコ等の電動工具も使えないわけで、その日の作業は基礎設置か塗装作業ぐらいになります…。
バッテリーは点検して、できれば予備も
前日にはバッテリーの充電を確かめましょう。
電動工具のバッテリーの寿命は、充電回数200~300回とされており結構長持ちします。
しかし、バッテリーが寿命を迎える時は急に電流が流れなくなります。
電池持ちが悪くなってきたかなぁ…
こんな前兆があるものの、電池は突然使えなくなるのです。
小屋作りは山奥が多いので、できれば予備のバッテリーを用意したいところです。
コーススレッド等の金具類を忘れた
コーススレッドや釘を忘れたことがあります。
これでは作業がまったく進みません。
木造小屋の床組み、壁組み、小屋組みは、ほとんどがコーススレッドの打ち込み作業です。
別荘としての小屋作りを依頼され、金具類を忘れたことがあります。
結局、20kmほど離れたホームセンターに買いに行くことになり、現場往復と買い物時間で半日を費やし作業時間を大きくロスしてしまいました。
小物類なので忘れやすいですが、コーススレッドや金具類の確認は忘れずに…。
プラスビットがない
電動インパクトドライバーはあるのですが、先端に差し込むビットを忘れたことがあります。
ビットが無いとコーススレッドの打ち込みはできません。
早朝から作業開始予定なのにホームセンターオープン時間がAM10時だったりします。
大幅に時間ロスしたことを覚えています。
ビットは破損しやすく消耗品です。
前日に破損してプラスビットを補充するのを忘れてました。
現場で壊れることもあるので予備ビットは必ず用意しましょう。
最初に使う床板がない
発送ミスで床部材が現場に届かなかったことがあります。
床板の合板が2枚足りないだけで、次の作業に移ることが出来ませんでした。
山梨県の山奥の現場だったので途方にくれました…
たまたまそこにあった合板を代用してくれて助かったことがあります。
床板を張るのは床組みの最初の作業です。
これをとばして次の壁組み作業に移ることができません。
床組み部材がないと一日中、何もできない事になります。
材料確認の大切さを痛感しました…。
お手伝い作業員が来ない
小屋作りの補助作業員への連絡ミスで、1人で小屋作りをすることがありました。
1人作業と2人作業では効率が全く違います。
2人のところを1人で小屋作り作業すると、時間が3倍かかるイメージです。
運搬作業や部材の抑えなどで1人だと安全のために仮設しなければならないことも増えます。
余計な作業が増えて時間がかかり効率が悪いです。
1人でじっくり小屋作りを楽しみたい方は別ですが、小屋作りは2人以上で作業しないと危険が増えて時間がかかります。
強風、積雪、地震
気象変化で想定外のトラブルになることもあります。
自然現象なので防げないこともありますが、最悪を考えておきましょう。
すぐ近くの木が倒れた
北海道南部山林内の別荘小屋作りを依頼されて完成間近になった時のことです。
仕上げ作業で朝現場に着くと、小屋のすぐ横の大木が倒れていたことがあります。
幸い建築中の小屋には被害がありませんでしたが、もし、倒木が当たっていれば小屋は倒壊していたでしょう。
前日はそれほど強風ではなく数本の樹木の幹が折れたり、根からめくれ上がるように倒れていることから深夜の突風が原因と思われます。
あと30cmほどで、被害を免れることができました。
偶然のタイミングでこんなこともおきるのだ…と驚きました。
強風で屋根材が破損
キットハウス展示場で小屋展示中に強風で下地屋根材(防水シート)が飛んだことがあります。
展示品は解体して移動することがあるので、屋根仕上げ材のアスファルトシングルを取り付けておらず下地の防水シートのみとしていました。
風で飛ばないように接着や仮の抑え材で対策していたものの、下地の防水シートは強風に弱く、破れて吹き飛ばされました。
雨が降っていたので防水機能がなく、破れた箇所から野地板の合板が濡れて、そのまま雨水が天井をつたって小屋室内に侵入しました。
壁や床も濡れて乾燥させるのに大変だった思い出があります。
屋根材を取り付ければこのようなことがおきなかったと思われますが、その大切さを知りました。
アスファルトシングルを施工しても侮れない強風
前述の下地屋根材(防水シート)がむき出しなら強風被害はしょうがないでしょう。
しかし、アスファルトシングルを取り付けていても強風被害に遭うことがあります。
屋根は意外にも強風の影響を受けやすいのです。
異常気象により想定外の強風暴風が吹くことが増えてきました。
屋根材の破損は早く発見して対処するしかありません。
屋根は見えにくい部分です。
荒天の後は点検するようにしましょう。
耐雪設計なのに雪で破損した
雪に強いキットハウスとして販売してきましたが豪雪で破損したこともあります。
ニセコ町は豪雪地帯で記録的な大雪による設計荷重以上の重量がかかり、軒先が破損したと思われます。
当初は除雪時に吹き上げた氷雪塊が衝突して破損したと予想していました。
現地に行って詳しく調査した所、そのような形跡はなく自然の積雪荷重による損壊とみられます。
多くの時間をかけて改良を検討しましたが、庇に局所的に想定以上の積雪荷重がかかると破損を防ぐ方法はありません。
どうしても雪下ろし作業が必要になります。
地震によりズレた
2018年9月に発生した北海道胆振東部地震による物置小屋の被害はたくさんありました。
最大震度6強となるとブロック基礎は崩壊し「補修をどうすれば…?」との相談が相次ぎました。
躯体にダメージがほとんど無いので、小屋をジャッキアップして基礎を作り直して補修しました。
これほど大きい地震は珍しいですがブロック基礎でも固定する必要性を感じました。
河川近くは注意、水害で被災
豪雨で近くの河川があふれて小屋が被災したこともあります。
幸い床上浸水は免れましたが、基礎部分に被害が確認されました。
景色が良いので河川や湖の近くに小屋作りされる方が多いと思います。
数十年に一度という水害を防ぐことが難しいでしょうが、想定しておいた方が良いでしょう。
トラブルあれこれ
忘れ物や自然環境以外にも想定外のハプニングがおきるものです。
注意喚起のためDIYをする方に紹介します。
運送中の破損
少しの衝撃でも木材は壊れることが多く、運送中の部品破損で報告や苦情を受けることもありました。
長距離輸送では積み替え回数も多いので、衝撃に弱い木材は運送中に破損することがよくあります。
多くの場合は加重がかかって破損したり割れたり破断しています。
合板は破損すると修復が困難で交換するしかありません。
ビスが打ち込みされた部分の割れ等でも苦情を受けることが多くありました。
割れの長さが10cm以上にわたっていたり、割れ幅が大きい時は交換が必要です。
多少の割れなら躯体強度に影響はありませんが、見た目で不安になる人が多くいます。
「小屋の位置を変えて欲しい…」
小屋作りを依頼されて建築請負していたことがあります。
作業は平日が多く依頼者と朝に打ち合わせするものの、作業中は見ていることができません。
夕方、仕事を終えて戻ってきた時に完成間近の建物を確認することになります。
大変なのが、小屋の躯体が建った後に「建物の場所を移動してくれ…」と依頼されることです。
母屋の窓が暗くなってしまう…
小屋の向きが間違っていた…
そんな事でやり直しの依頼を受けることもありました。
小屋の位置変更は、解体して作業をイチから始めることになりとても大変です。
基礎段階で窓やドアの高さや位置をよく確認してください。
小屋の向きもよく検討して計画することが大切です。
雨漏りした
建築で雨漏りは重大瑕疵です。
完成後すぐに雨漏りしていたのなら重大なトラブルです。
現場に急行して調査すると組立説明書どおりに材料を使用していないことが原因でした。
屋根材のアスファルトシングル専用の釘を使用せずに、コーススレッドでとめていたからです。
専用釘は何の変哲もないようですが防水機能が備わっています。
施工指針に従わないとトラブルがおきます。
ハプニングを参考に事故防止を
屋外作業は何かとトラブルが起きるものです。
道具の忘れ物や充電ゼロは前日チェックで防ぐことができます。
発生してしまった時は冷静に対処することが二次災害を防いでくれます。
一方で自然現象は防止できないので、安全を考えて計画を変更しましょう。
あり得ないと思っても想定する想像力が大切で、事故を未然に防ぐことができます。
少しでもセルフビルダーの参考になると嬉しい限りです。
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