住宅にも使われる「アスファルトシングル」という屋根材の名前を聞いたことはありますか?
アメリカでは古くから住宅やログハウスに使用されていて流通量も多く、よく知られている屋根資材です。
日本国内においても普及してきておりホームセンターで販売されています。
近年は、住宅でも多く使用されてます。
施工が簡単な資材ですが、ちょっと間違えると雨漏りするので注意です。
DIY小屋の屋根材として、アスファルトシングルを紹介します。
アスファルトシングルとは
メンテナンスが必要?
メーカーによると、アスファルトシングルはメンテナンスは不要です。
経年劣化も非常に少なく10年経過してもほとんど変化ありません。
屋根材は日射や雨で劣化しやすい箇所で、住宅なら葺き替えたり塗り直したり修繕が必要です。
アスファルトシングルはその必要が無く、2002年頃に作った小屋をみると多少色砂が剥がれ落ちたものの、防水性は十分に残っていてまだ大丈夫です。
ただし、積雪の有無や強風地など、小屋を作る場所の条件によって耐久性のバラツキはあると思います。
防火認定を受けている材料?
市販されているほとんどのアスファルトシングルは、防火認定された建築資材です。
下葺き材や施工方法は認定証に細かく指示されています。
それらの使用法に基づいて使えば、防火地域及び準防火地域の建物にも使用できる屋根資材です。
使い方は難しい?
張り方を覚えれば作業は単純で、技術レベルの差は大きく現れません。
一方で金属のトタン屋根などでは、鉄板を折り曲げたり切ったりする技術には、ある程度の経験が必要です。
屋根職人の技術は習得するのに時間がかかります。
アスファルトシングルは初心者でも作業が理解しやすく高度な技術や経験が要りません。
コストは?
トタン屋根や樹脂製の波板に比べると、アスファルトシングルの屋根資材費用は高価です。
メーカーや商品にもよりますが、1枚¥200~¥350(税別)で、平方メートルあたり¥2,200~¥3,900くらいです。
必要な道具はカットするカッターくらいで他に必要としません。
専用の釘と接着剤(専用セメント)も必要ですが、それらの費用は使用する材料費の+10~20%程度と考えてよいでしょう。
トタン屋根とはどう違うか…
小屋でよく見かけるトタン屋根とアスファルトシングルとでは、どのように違うのでしょうか?
セルフビルドする方にも相談を受けますが、トタン屋根の金物は安価で、たしかに直接資材費用が安くすみます。
しかし、トタン屋根はある程度の施工経験や知識がないと、雨漏りしないようにうまく仕上げることができません。
金物の折り曲げ方を間違えたり穴が開いたりしていると、完成後すぐに雨漏りしたりします。
アスファルトシングルは張り重ねていくだけで作業が単純で、はじめての方でも雨漏りの心配がなく施工できます。
トタン屋根:資材費(安)施工費(高)
アスファルトS:資材費(高)施工費(安)
積雪と屋根勾配
積雪地の建物の設計では強度を考えるときに、雪の重みを考慮するため屋根勾配が検討されます。
豪雪地の日本古来の建物は、決まって屋根勾配がきつくすぐに落雪されるように設計されてます。
現代の積雪基準も屋根勾配が緩ければ建物を強くしなければならないですし、屋根勾配がきつければ雪の重みを受けないと考えられ、建物強度は強く求められません。
アスファルトシングルの屋根勾配は、3.5寸以上とされてます。
建物としては比較的緩い(なだらかな)こう配でも使用することができますが、落雪するように屋根材表面が滑りやすくできているわけではなく、むしろ落雪しにくいです。
積雪地でアスファルトシングルを使用するときは、積雪荷重が長期にわたりかかり続けることを意識して小屋の設計をしましょう。
強風は大丈夫?
アスファルトシングルは、専用釘と特殊なセメント接着剤で取り付けます。
メーカーや資材にもよりますが、釘だけや接着剤を併用して施工します。
施工仕様や説明に従って取り付けてください。
想定外の風速で一部の被害を受けることはありましたが、他の屋根資材に比べても引けをとらない耐風性があります。
雨漏りの原因
初心者にも扱いやすいアスファルトシングルですが、セルフビルダーから「アスファルトシングルを使って雨漏りしたのですが…」という相談を受けたことがあります。
そんなはずはないと、現地に行って原因を調べました。
ケース①専用の釘を使わなかったから
ほとんどの原因は「アスファルトシングルの専用釘を使っていないから…」です。
専用釘はやや単価が高いので、ついつい安価なコーススレッドを代用してしまうのでしょう…。
一見、特殊な加工がないように思えますが、専用釘は雨漏りしないように設計されてます。
アスファルトシングル施工には必ず専用釘を使うようにしましょう。
ケース②屋根材のセメントが密着していないから
アスファルトシングルには一枚ずつに接着セメントが塗られてます。(※商品によっては塗られてないものもあります)
セメントは日射熱で自然に溶けだして重なる屋根材と接着されるのですが、低温時には屋根材に付いてるセメントがうまく溶けずに接着不良になります。
そこに強風が吹き込んではがれ飛ぶことがあります。
夏場高温時のアスファルトシングルは軟らかく、セメントも付着しやすくなっています。
ところが、冬場になるとセメントが固まって接着不良で、施工時の釘か仮の接着頼みになります。
ひと夏越えれば、屋根材のセメントが溶けて接着完了になるのですが、その前に運悪く強風が吹き込むと屋根材の破損があり得ます。
ケース③雪下ろしの時に破いてしまったから
積雪地では屋根上で凍り付いたアスファルトシングルを、雪下ろし時に破損してしまうこともありました。
屋根材と積雪が氷で一体化してることに気づかず、ムリに雪下ろしをすると破いてしまうことがあります。
破損に気づかないで放置してしまい、雨天時に雨漏りでビックリすることになります。
アスファルトシングル葺き屋根の雪下ろしは、完全に雪おろしをせずに厚さ数十cmの雪を残して屋根材を傷つけないように配慮します。
まとめ、総合的にDIY向き
屋根材は材料コストが数万円になり、総材料費の30~40%を占めるでしょう。
小屋を使っていく上で雨漏りがあると躯体の耐久性を低下させるので、屋根材は真剣に考えたい資材です。
アスファルトシングルはメンテナンス不要で、耐候性に定評があり塩害にも強く、海岸などの強風地帯でもよく使われています。
屋根材には、瓦やとたん、かやぶき、ガルバリウムなどいろいろ選択肢があります。
はじめて使う資材として完成度に差が出ないのがアスファルトシングルだと思います。
その他の資材を初心者が使った時に、おそらく2回目の施工の方がうまくいくでしょう。
アスファルトシングルは総合的にみて小屋作りにおすすめです。
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