ココなら景色がいいから…
とりあえず建ててしまおう…
この場所が建てやすいから…
DIYで小屋を建てようと考えている方は、ワクワク感が先にたち、安易に小屋作りを進めてしまいがちです。
小屋が完成してから「こうしておけば…」という後悔をたくさん聞きました。
早く作業したい気持ちを抑えて、ちょっと計画を見直してみてください。
失敗したり後悔した人を多く見てきました!
セルフビルドで小屋を作る方のために、小屋を作る前に考えておくべきことを整理しておきます。
敷地境界
敷地には必ず隣地との境界線があります。
不動産売買においても境界線トラブルは、最も多い問題の一つです。
小さな小屋であっても境界線トラブルが起きると多額の費用がかかる恐れがあります。
のちの解体移設や撤去となると、費用が高額になる可能性があります。
越境問題は隣地との関係悪化につながり、金銭問題だけではなく今後のご近所関係にも波及します。
敷地境界の確認は慎重に。
屋根が越境していないか?
基礎が越境していることは少ないですが、空中で隣地境界線を超えていないか注意が必要です。
外壁線にばかり気をとられていて軒出しの寸法を忘れていることがあります。
屋根の軒先や庇が空中で隣の敷地に飛び出して越境していることが考えられます。
雨どいを取り付けるときは注意です。
また、近くに植木や樹木があるときは、完成後の屋根軒先をよく考えて建てる位置を検討しましょう。
見た目には、屋根が越境してないように見えます。
実際に計測してみると越境してたり、ギリギリだったりします。
雪や雨の隣地への影響に注意
雪が多く降る地域では、隣地へ落雪することがあります。
片流れの屋根だと、隣地へ雨水を流してしまう恐れもあります。
トタン屋根の物置を設置した方は「そちらの物置の雨音がうるさい」と隣地からクレームがきたという事もありました。
ドアや窓を開けたとき
ドアや窓を隣地境界線に沿って取り付けるときは、開閉時のことを考えておきましょう。
スペースが無くて、「窓を開けることができない」なんてことが考えられます。
また、ドアや掃き出し窓などの出入り口を設置するときは、「段差で出入りがしやすいかどうか?」の高さの検討も必要です。
再塗装や補修は可能か?
塗り直しなどのメンテナンスも考えなければなりません。
外壁から隣地境界線までの距離は、最低でも50cm以上ないと塗装作業ができません。
それぐらいの作業スペースがないと、人が入れず塗り直し作業ができません。
メンテナンスの再塗装や壁を直したりする時の補修は、足場を組むこともあり得ます。
補修をどうするのかを考えて位置を決めましょう。
木製小屋はメンテナンスがとても大事です。
のちに補修しやすいように設置することが重要です。
隣地境界線と外壁までの距離目安は、50cm~1mくらいです。
地盤
建物にとって敷地状況はとても大切なことです。
水たまりができやすかったり、霜柱ができたり、盛土の土地などは注意が必要です。
軟弱地盤では物置が傾いていて、隣地に倒れそうになっていることもあります。
畑の中の小屋
農園に小屋を作る方も多いですよね。
畑の中に小屋を作る時は、基礎が沈下しやすいので注意しなければなりません。
畑の土壌は柔らかくて空気を多く含んでいます。
ゆっくりと沈下するので建築後、3年~5年は注意して基礎の沈下を点検する必要があります。
積雪地は雪の重さが小屋基礎に伝わり一気に沈下して、春になると傾いていることがあります。
水はけが悪い場所
建物敷地の水はけが悪いと、基礎の沈下や霜柱の凍上もあり得ます。
霜柱ができる土壌だと、ブロック基礎を1cm以上持ち上げられることもあります。
建物の構造を狂わせる原因になり、ドアや窓が開きにくくなったりします。
水はけが悪い敷地は湿気が多く、カビが発生しやすいです。
建てる場所は周囲の土地よりも少し高くするようにして、敷地の水はけを良くする工夫が必要です。
掘っても水が出てくる場所は避けたいです。それでも建てる時は砂や砂利で土壌改良したり基礎を高くしたりしましょう。
方位、方角
南向きの窓は日の光が当たりやすく、室内が温かくなりやすいです。
小屋を建てる前に日差しがある方位方角を意識する必要があります。
景色が良いかどうかにばかり気をとられて、方位や日差しのことを忘れがちです…。
西向きや北向きで考えること
西向きに窓や開口部を設けると西日の影響を受けます。
室温が急上昇しやすく注意です。
真夏の夕方はかなりの室温上昇が考えられますので、カーテン等やガラスサッシを検討しましょう。
断熱効果を向上させた小屋だと、逆に室内暖気が逃げにくく一気に暑くなります。
北側は一日中、日照がなく湿気が滞留しやすく藻やコケ類も生息しやすいので、シロアリに注意が必要です。
カビや菌類も発生しやすいので、掃除やメンテナンスがしやすいように工夫しましょう。
換気や通風性を確保して、北向きは木部の腐朽が進みやすいことを意識しましょう。
風向きも考える
ドアや窓、換気は、風向きも考えましょう。
北風は冬に冷たく、湿度を含んだ南風は夏に吹きます。
破損の恐れもあり、強風地ではドアの開閉に注意を払わなければなりません。
積雪地では風向きにより、雪の吹き溜まり方が変わります。
除雪がしやすいように雪を積み上げる位置を考えて、冬の敷地の利用方法も想定しておきましょう。
木陰では
森林の中で小屋を建てる時はいつも日陰になっている場所もあります。
そんな所は、カビや藻類が繁殖しやすいので注意しましょう。
カビ発生防止のため湿気対策が必要です。
防腐のために頻繁に塗り直しをしましょう。
木陰は虫類が集まりやすく、菌類や害虫も多くなるので要注意です。
木陰の小屋の屋根上には小枝や落ち葉が降り積もりますので、定期的に屋根の清掃もしなければなりません。
できれば、小屋経験者と話したい
小屋作りにおいて、初心者とプロの差は何でしょうか?
ツーバイフォー工法ではカンナやホゾ切り等の難しい現場加工はありません。
ですから、職人の加工技術の差は少ないです。
でも、小屋作りは初めて作る人と2回目以降の人では、仕上がりと要する時間に大きな差があります。
失敗を防げる
はじめての小屋づくりでは小さな失敗が多く、特に設計でも失敗することがあります。
施工においても細かい調整方法を知らなかったために、そのまま進んでしまって、手戻りに時間がかかることもあります。
ちょっとした手順を変えることで、進捗スピードが激変することもあります。
経験者と一緒に組み立てると、細かいですが多くのメリットがあります。
設計においても図面と完成品のわずかな違いがあり、現物を見ないと判断できない部分もあります。
経験者は図面で現物をイメージできる
一度作ったことがある人はその違いを知っているので、図面で感じとるイメージが初心者とは違います。
特に小屋の高さや天井高さが図面では感じとりにくいです。
平面図よりも立面図の空間イメージが初心者には難しいようです。
経験者は危険も知っている
屋根部分の小屋組み作業の時は高所作業で、怪我や事故防止のノウハウが必要です。
一度、小屋作りを経験していると危険な作業に気づきがあります。
安全のために道具の準備や施工順番を変えるなど、経験者の知恵が活かされます。
けっして建設業者に従事していなくてもいいので、一度、小屋を建てた人がいたら、質問してみると良いでしょう。
安全対策の準備が増えたり、設計や施工方法が変わることもあります。
建てた後のことも…
小さな小屋でも建てたからには、十数年や数十年使っていくことになります。
将来的に小屋をどのように使っていくのかも含めて、小屋を作る前に検討しましょう。
ライフラインをどうするのか?
小屋の完成後に水道をひいたり電気をひいたりすることを考えている方が多いです。
水道は本管から遠いと引き込み工事が高額になります。
枝管が長いとメンテナンスも大変になります。
将来も含めて、水道は計画段階で必ず考えましょう。
電気よりも水道工事は高額です。数百万円になることもあるので必ず考えましょう。
小屋の高さ
建物の床面の高さにも注意が必要です。
将来的にウッドデッキを取り付けたり、増改築を考えていく場合は床面の高さが重要です。
床面は建ててしまうと簡単に変えることができません。
床面は低すぎると床下の通風性が失われ、湿気が溜まりやすくカビや虫害に遭いやすくなります。
高すぎると室内の出入りに高低差が生じ、上り下りが大変になります。
床面高さは入念に検討しましょう。
まとめ、作る前に境界線、向き、水道、床面高に注意
外壁面を意識していると屋根が隣地境界線に接してしまうので、屋根サイズで検討してください。
雨水流れや落雪によって隣地に迷惑がかからないか、悪天候時にどうなるかも調査しましょう。
さらに面(小屋の向き)を意識しておかないと、イメージと違う方向を向いてしまうことになりかねません。
(建築途中に気づくのですがコレはよくあります…)
小屋の向きを決める時は、前面や後面のどこかの一面を基準にしてください。
水道の引き込みは高額なので将来的に水道使用の可能性があるなら、本管の位置や工事費を調べておきましょう。
敷地土壌からの湿気や水分は思いのほか多量ですので、床面の高さは可能な限り高めに設定することをおすすめします。
シロアリ駆除の決め手は蟻道の早期発見です。
床下にもぐるには少なくとも40cm以上の床下高さが必要です。
最終形態の小屋空間を設計しよう!
着手前に最終的に小屋があるどんな空間にしたいのかをイメージできているとイイですね。
小屋の次はウッドデッキ
その次は木柵
予算があれば薪ストーブを…
できれば水道を使いたい!
と、考えがちですが、予算のことは置いといて最終形を設計してください。
小屋の設計は増築のような継ぎ足し方式だと、どうも完成度が低くなります。
段差ができたり、雨漏りしたり、窓ドアの使い勝手が悪かったりと、不都合がおきがちです。
最終形が設計できていれば、予算が許す限りの引き算方式で施工を進めていくとイイでしょう。
「数年間、工事途中なんだけど、予算ができればやろう!」という感じですね。
コメント